浜松には活版印刷で仕事をしている人は、僕とマブチさんだけかと思っていたのですが…
先日テキンのローラーを交換してくれた「たつみ商会」さんや
DOPRのポートフォリオレビューに来てくれた文芸大の学生から立て続けに聞いた、
とある印刷会社にハイデルがあると聞いて、早速アポを取って訪問してきました。
中に入るとハイデルベルグ プラテンが2台も!
1つは印刷用で、もう1つは箔押しやスジ入れ、トムソンなどに使うとのこと。
モーターが回る音、プシューという空気の音、ガツンと圧がかかる音を久しぶりに聞いて、桜ノ宮が懐かしくなりました。
もう50年ほど使っているという機械はとてもきれいに手入れされていて、お父さんの愛情がうかがえます。
さらにびっくりなのは、こちらでは昔、母型を使った活字鋳造もしていて、
貴重な活字母型や電鋳母型などを見せてもらい、色めきだつ一堂。
今は活字での印刷はほとんどしなくて、樹脂板を使っての印刷ですが、
しかもその樹脂板は、こちらで自作していという家内制手工業体制。
もともと製本屋さんということもあり、今でも無線綴じや糸かがり製本などといった製本も行っています。
印刷から製本まで手がける印刷屋さんがこんな身近にあったなんて、ただただ驚くばかり。
活版職人さんでもありますが、個人的には
エンジニア系の印刷職人という印象を受けました。
Zingやぞうへいきょくの話をしたら、「ぜひ誘ってよ」と感覚が若いのお父さん。
今どきの印刷って、ボタンを押したらピューと簡単にできるもんだと思う子もいるけれど
印刷物ができるまでには細かな調整や試行錯誤がある訳で、
これはもう工芸品と同じくらいの温もりある作品と言ってもいいんじゃないかと。(そーじゃないのも多いけど)
特に今回のようなまちの小さな印刷所ではなおさらそれを感じました。
職人と相談しながら思い入れのある印刷物がつくれ、
印刷する楽しさを感じられる場所が日常的にあったら、
創造的で、きっと楽しいだろうに、と思ったのでした。