
評判もよく、地方の手作りマーケットカルチャーにも触れているとのことで購入。
一読して、いい本だなーと。いわゆる小商いのことを題材にしながらも、DIYマインドや地方の手作りマーケットに関する考察が面白い。
内容は、
・小商い実践者17名へのインタビュー
・小商いとマーケットカルチャーの考察
・拡張するDIY
の3章だてで、内容もさることながら、構成のリズムが心地いい。
インタビューは6ページの人もいれば、1/2ページの人もいて、この手の本にあるような冗長感がない。その分もの足りない感はあるけれど、さくっとどんな思いで小商いをしているかを知るのには十分。もっと知りたければ、その人のウェブサイトを見ればいいわけだし。
章の間には、筆者である磯木淳寛さんの考察(エッセイ)が入ったり、小商い実践者の年齢や収入といったデータ、マーケットカルチャーの年表などがあり、知らなかった発見も多い。『Spectator』編集・発行人の小商い論や、アーバンパーマカルチャーの実践者ソーヤー海の田舎論のンタビューもあり、田舎での小商いとマーケットカルチャーを多角的に考察する姿勢もみられる。
読後感に、小商いというものが豊かな表現なんだと感じ、俗にいう手作りマーケットが町に与える可能性にわくわくした。ちょうど妄想していたことと重なる分も多く、よい刺激をもらえました。
取材や文章も大事だけど、それをどのように伝えるかも編集者の腕の見せどころ。
その点でも、表現とリズムのバランスが取れた、良書でした。
そーいえば、昔誰かが言っていたけれど、「結婚するなら、歌の趣味があう人がよろしい」と。
歌詞の部分、音楽のリズムがあう人なら、たいてい相性はいいと。
そんなことまで思い出した本でした。
SLOW MODERN FOOD – 食と地域を耕す編集者、磯木淳寛