
先日、『「無印良品の家」に会いに。』が届いてから、ずいぶん間があいてしまいましたが
当選の条件であった、読書感想文なぞを書いてみようと思います。
まずもってこの本は、「家」というものが誰ものなのか、
そして、どーやって作っていくと心地よさげなのか
そんなことに気付かせてくれる本。
以前、無印良品が広告の中で
「これがいい」ではなくて、「これでいい」を大切にしていると話していた。
そして、高いレベルの「で」をめざし、商品開発をしていると。
この思想とも言える考えは、
使い手が主役であり、商品が前に出すぎない、という特徴に現れている。
日用品など、普段使いで僕もよくお世話になる無印良品。
特にこの「無印良品の家」は、いちばん無印らしさを伝えているのかもしれない。
この本は、もともとウェブで掲載されている「家に会いに。」をまとめた一冊。
(店頭のリーフレットは、その前半部分だけが載っている)
写真を大きく使い、ゆったりとしたレイアウトが
無印のような気取りすぎない、やさしい佇まいを生んでいる。
(紙触りも申し分ない!)
「木の家」「窓の家」「朝の家」と同じプラットフォームなのに
住まう人によって、家の雰囲気がずいぶん変わっているように見える。
小泉誠や松浦弥太郎をはじめとするゲストが住まい手と交わす
取材過ぎない他愛ないおしゃべりも、小気味いい。
住人の誰もが、相応のこだわりを持っているが、
決して無理しすぎてない感じが伝わってくるのは、無印の家を選んだ方だからなのか。
間取リストとしては、間取りが載っていなかったのが少し残念。
無印の家のような家は、おそらく工務店でも作れるはず。
ただ、無印的なスタイルを好む住まい手の気持ちを
あうんで分かってくれる工務店や建築家を探すのは、なかなか根気のいることなんだと思う。
それをうまくしてくれるのが、無印の家の強みなのかなと。
無印の家について声高に宣伝している訳でないこの本は
家を舞台にしたエッセイのようで、心地よく、少し凜とする読後感が残る良書。
しばらくは一軍本棚に置いておきます。