
「ローカルメディア」という単語にひかれて、市の図書館で借りた『ローカルメディアのつくりかた』。
人文系の品揃えが悪い図書館だけど、新刊にも関わらず取り扱いがあったということは、それだけ良書ということ?
この本では、ウェブマガジンなどではなく、福岡にある宅老所の面白雑誌『ヨレヨレ』、食材付き情報誌『食べる通信』、
たねやの『La Collina』(写真がほんとうに美しい)など、紙を主体にしたローカルメディアを取り上げています。
副題の「人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通」とあるように、作って、どう届けるかまでを丁寧に紹介。
自己満足でなく、ビジネスとしてどう成立させるのかにまで言及している点も興味深く読ませてもらいました。
著者である、影山裕樹さんは、編集者であり、芸術祭やアートプロジェクにも携わっている方。
氏によるローカルメディアの役割や意義に関する考察がとても参考になりました。
気になった部分の一部。
今の時代、クリエイターはコンテンツを生み出すだけでなく、体験を生み出すことが求められる。
地域発行の出版物は特にこの体験のデザインが肝になってくる。
たねやの『La Collina』を例にとって、
企業として、自分たちのルーツを大事にしないと存在価値はない
浜松には上場している企業が少なくないし、どーかなぁー。
で、ドキリとしたのが
メディアがないと地元で書き手が育たない。
地元の書き手を育てないと、本当の意味で地方出版社は根づかないのではないか。
書き手だけでなく、デザイナー、カメラマン、印刷会社なども同じ。
メディアが人を育てるし、育った人がメディアを育てるという循環を作らないと。
浜松には、この本で言うようなローカルメディアがほとんどないので、
地域のコミュニティを促し、地域の価値を内ないし、外に届ける定期的なメディアをちゃんとつくりたいなと思ったのでした。
DORPで作った『.SOURCE』も、『浜松デザインパートナーズ2016』も、そんな想いが隠れていたりします。